防災用品を調べ始めると、セット商品、保存食、大容量の水など、買う候補が次々に出てきます。しかし、家族に必要な量と置き場が決まらないまま購入すると、足りないものを残したまま、同じものだけが増えることもあります。
まずは家にある物を数え、水・食料・トイレを中心に不足を埋めましょう。必要量を計算し、日常の買い物で補充する仕組みにすれば、家計と収納の負担を抑えながら続けやすくなります。
先に押さえる3つのこと
- 自宅にとどまれるかは、備蓄量とは別に確認。 地域の災害リスクと避難先を確認したうえで、備蓄と持ち出し品を分けます。
- 水・食料だけでなく、トイレも人数と日数で数える。 セットの「何人用」という表示だけでなく、中身を確認します。
- 家にある物を差し引いてから買う。 普段使う物を循環させ、使ったら補充する方法で無駄を減らします。
1.「家に置く備蓄」と「持ち出す物」は分ける
最初に、市区町村のハザードマップなどで自宅の災害リスクと避難先を確認します。水や食料が十分でも、建物の損傷や浸水などで危険があるときに、自宅に残る理由にはできません。[1]
そのうえで、備えを次の二つに分けます。
| 種類 | 目的 | 量を決めるときの視点 |
|---|---|---|
| 自宅の備蓄 | 安全に滞在できる家で、生活を続ける | 人数×日数、保管場所、補充のしやすさ |
| 非常持ち出し品 | 避難するときに持って移動する | 自分で運べる重さ、家族ごとの必要品 |
自宅用の水を全部リュックへ入れる必要はありません。反対に、持ち出し袋が一つあるだけで、自宅で数日過ごすための備蓄がそろったとも限りません。
家族で一度、実際の袋を持って歩けるか、収納場所から取り出せるかを確認しておくと、買っただけで終わりにくくなります。
2.必要量は、人数と日数を決めて計算する
公的な防災情報では、水・食料を最低3日分、できれば1週間分備えることが案内されています。飲料水の目安は、調理に使う分を含めて1人1日3リットルです。[2]
水の計算例
必要な水の量=1人1日3リットル×人数×日数
| 人数 | 3日分 | 7日分 |
|---|---|---|
| 1人 | 9リットル | 21リットル |
| 2人 | 18リットル | 42リットル |
| 3人 | 27リットル | 63リットル |
| 4人 | 36リットル | 84リットル |
これは公的な目安を使った計算例で、生活用水まで全てを賄う量ではありません。家族の事情や季節などを考えながら、保管できる容器と場所も一緒に確認します。
たとえば3人で7日分なら63リットル。2リットル容器だけでそろえる場合は、計算上32本で64リットルです。ただし、大きい容器だけが使いやすいとは限りません。開封後の使い方や、持ち運びやすさも考えて組み合わせましょう。
食料は「主食だけで何食分」になっていないか
食料は、ご飯や麺などの主食だけでなく、おかずになる物、飲み物なども組み合わせます。農林水産省は、普段の食生活で備蓄を循環させる方法や、家族の条件に応じた食品選びを紹介しています。[3]
同じ保存食を大量に買う前に、一度食べてみましょう。味の好みだけでなく、開封しやすいか、そのまま食べられるか、水や加熱が必要かも確認できます。
乳幼児、高齢者、食物アレルギーなどで食事に配慮が必要な家族がいる場合は、一般的なセットだけで足りると決めつけず、食べ慣れた食品と必要量を別に確認します。農林水産省は、こうした方向けの備蓄ガイドも公開しています。[3]
3.トイレは「使える回数」で数える
断水などで、自宅の水洗トイレが使えなくなることがあります。経済産業省の案内では、成人の排泄回数を1日5回として、1人1週間35回分の備蓄が目安とされています。[4]
目安の回数=1日5回×人数×日数
| 人数 | 3日分の計算例 | 7日分の計算例 |
|---|---|---|
| 1人 | 15回分 | 35回分 |
| 2人 | 30回分 | 70回分 |
| 3人 | 45回分 | 105回分 |
| 4人 | 60回分 | 140回分 |
人数には、在宅する家族を数えます。個人差や、処理に必要な予備も考慮してください。「袋が100枚ある」だけで、100回使えるセットとは限りません。凝固剤、便袋、保管用の袋など、製品が指定する組合せを確認します。
購入後は説明書を読み、家の便器や利用場所に合うか、家族が使い方を理解できるかを確認しましょう。使用後の処分方法は、住んでいる自治体の案内に従います。
4.買う前に、家の在庫を数える
最初から防災用品を一式買い直す必要はありません。保存できる飲料水、缶詰、レトルト食品、紙類、電池など、普段の生活で持っている物を点検します。
| 品目 | 目標 | 家にある量 | 買い足す量 | 置き場・見直す日 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 人数と日数から計算 | 未開封で使える量を数える | 目標から在庫を引く | 分散できる場所を決める |
| 食料 | 家族が食べられる組合せ | 主食・おかず等を分ける | 足りない種類と量 | 期限の近い順に使う |
| 携帯トイレ | 人数と日数から計算 | セットとして使える回数 | 足りない回数 | 説明書も一緒に置く |
| 灯り・充電 | 家族の利用場面から決める | 本体と必要な付属品 | 不足する電池やケーブル等 | 実際に動くか確かめる |
この表は、買うべき商品の一覧ではなく、家にある物と不足を対応させるための記入例です。未確認の欄を埋めるだけでも、重複購入を減らせます。
置き場は「入るか」だけでなく「取り出せるか」で考えます。重い水を一か所に集中させず、家具が倒れたときに取り出せなくなる場所や、避難の通路をふさぐ置き方を避けます。家具の固定や配置の見直しも、公的な備えの案内に含まれています。[1]
5.普段の買い物で回す仕組みにする
保存期間のある食品を少し多めに持ち、古いものから使い、使った量を買い足す方法がローリングストックです。[2][3]
続けるためには、家族の誰が使っても補充の必要が分かるようにします。たとえば「残りがここまで減ったら買い物メモへ追加する」と棚に目安を付ける方法があります。これは編集上の運用例で、全家庭で同じ数量にする必要はありません。
初回に買う費用と、その後の補充費用も分けて考えます。普段食べる食品を備蓄へ回す部分と、携帯トイレなど新たに確保する部分を分けると、支出の見通しが立てやすくなります。
予算が限られる場合は、一度に豪華なセットを完成させようとせず、在庫確認をしたうえで水・食料・トイレなどの不足から埋めます。買い足した日と次に見直す日を記録し、未完了の品目を残しておきましょう。
6.セット商品は、中身と使い方を比べる
「防災セット」と書かれていても、中身や想定する場面は同じではありません。人数表示や品数の多さだけで決めず、次の項目を確認します。
- 自宅用の備蓄か、避難時に運ぶ持ち出し品か。
- 水・食料・トイレの実際の量は、家族の人数と日数に合うか。
- 食品は家族が食べられ、必要な水や加熱手段も用意できるか。
- 電池、ケーブル、袋など、別に必要な物がないか。
- 保管期限、交換する物、買い足し方法は分かるか。
- 手持ちの品との重複を除いても、まとめて買う価値があるか。
価格を比べるときは、セット本体だけでなく、足りない品を追加する費用まで考えます。ここでは特定商品を最安・最適とは判定せず、家族に必要な備えを満たすかを先に見ます。
今日の一歩:水・トイレ・食料を数える
今日は、家族の人数と備える日数を決めて、水とトイレの目安を計算し、家にある食料を確認しましょう。買い物へ行く前に、この三つの不足と置き場が分かれば、次の行動が具体的になります。
防災は、物を買うことだけでは終わりません。避難先、家族の連絡方法、必要品の取り出し方まで、一度家族で確認しておきましょう。[1]
出典・確認日
情報確認日:2026年11月3日。数量表は一次資料の目安から編集部で計算しました。収納・買い足しの表は運用例です。